2006年 10月 07日
先日立ち寄った本屋で吉村昭の追悼フェアをやっていた(2つ前のエントリ参照)。 そのとき同じく追悼ということで取り上げられていたのが稲見一良(いつら)だった。 この方はだいぶ前にすでに亡くなっている。 記憶が正しければこの作家との出会いは、父の本棚にあった文庫本を偶然手にしたときだ。 ちょうど手持ちの本が切れていて、なんとなく借りた「セントメリーのリボン」が面白かったこと。 短編小説が3つ4つ入っているのだが、どれも面白く、特に最後の物語は秀逸だった。 一匹の犬を相棒とし、請け負う仕事は”行方不明の犬を探すことだけ”という変り種の探偵が主人公。 基本的にハードボイルドタッチなのだが、人情味あふれる優しい話でじんわりと心にしみた。 この探偵、なんと私の今住んでいる近くに居を構えているという設定なのだ。 そこも心くすぐられるところだ。 その後に執筆された「猟犬探偵」はこの探偵がまるまる主人公のもの。 残念ながら稲見さんは私の知る限り数えるほどの小説しか残していないと思う。 もっともっと心温まる物語を読みたかったものだ。 秋の夜長に本をお探しの方、ぜひご一読を。 ----- 稲見 一良(いなみ いつら、1931年1月1日 - 1994年2月24日 ) 日本の作家、放送作家。大阪府大阪市出身。 記録映画のマネージメントを務める傍ら、1968年『凍土のなかから』が双葉推理賞佳作を受賞、しかし多忙のため作家活動に専念しなかった。1985年肝臓癌の手術を受けるが全摘ができないと分かると生きた証として小説家活動に打ち込むと周囲に宣言し、1989年『ダブルオー・バック』にて単行本出版。1991年『ダック・コール』にて数々の賞を受賞し期待され、1992年から1993年には産経新聞にてエッセイを連載。1994年わずか9冊を残して癌のため没した。 作品は自身の趣味であった猟銃の知識を生かしたハードボイルドな推理小説で、少年の視点目線やニヒリズムを取り入れたものであった。 (Wikipediaより) ----- よく見るとキンモクセイはかわいらしい形をしているのだ。
by R_bridge
| 2006-10-07 23:52
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